アンティステネス
はソクラテスの影響を受け、禁欲を重んじ、貧しい人々に教えを説いた。弟子のディオゲネスは過激な禁欲生活を送り、「犬のような生活」から「犬のディオゲネス」と呼ばれた。ディオゲネスは「コスモポリテース（世界市民）」という言葉を作り、後のコスモポリタニズムの源流となった。キュニコス派はシニカルの語源となり、ストア派に影響を与えた。一方、メガラのエウクレイデスもソクラテスに学び、メガラ派を開いた。メガラ派では近代の命題論理に近い論理学が発展し、エウブリデスはパラドックスでアリストテレスの論理学に対抗した。メガラ派の論理学はストア派に受け継がれた。
Antisthenes, influenced by Socrates, valued asceticism and taught the poor. His disciple Diogenes led an extreme ascetic life and was called "Diogenes the Dog" for his "dog-like life." Diogenes coined the term "cosmopolites (citizen of the world)," which became the origin of later cosmopolitanism. The Cynics became the etymological origin of the word cynical and influenced the Stoics. On the other hand, Euclid of Megara also studied under Socrates and founded the Megarian school. In the Megarian school, a logic close to modern propositional logic was developed, and Eubulides countered Aristotle's logic with paradoxes. The logic of the Megarian school was passed on to the Stoics.
アンティステネスはソフィストから修辞学を学んでいたが、ソクラテスと出会い影響を受ける。倫理学を中心に言語哲学や自然哲学を磨き、質素さを重んじた。
Antisthenes had studied rhetoric from the Sophists but was influenced by his encounter with Socrates. He polished his ethics, philosophy of language, and natural philosophy, and valued simplicity.
アンティステネスのもとには多くの貧しい人々が集まり、身なりも真似するようになった。プラトンやアリストテレスの学園がエリート校なら、アンティステネスは無産市民に近い市民の先生だった。
Many poor people gathered around Antisthenes and began to imitate his appearance. While Plato and Aristotle's schools were for the elite, Antisthenes was a teacher for citizens close to the proletariat.
アンティステネスの弟子ディオゲネスは、神殿に寝泊まりしたりたるで生活するなど過激な禁欲生活を送った。「犬のような生活」から「犬のディオゲネス」と呼ばれた。
Diogenes, a disciple of Antisthenes, led an extreme ascetic life, sleeping in temples and living in barrels. He was called "Diogenes the Dog" for his "dog-like life."
ディオゲネスは「あなたは何人ですか」と聞かれ、「コスモポリテース（世界市民）だ」と答えた。これが史上初の「コスモポリタニズム（世界市民主義）」という言葉であり、近代から現代のテーマにもなっている。
When asked "What is your nationality," Diogenes answered, "I am a cosmopolites (citizen of the world)." This was the first use of the word "cosmopolitanism," which has been a theme from modern to contemporary times.
キュニコス派はシニカルの語源となり、キュニコス派の思想はゼノンへと受け継がれ、ストア派に影響を与えた。キュニコス派の世界市民の考えは、広大なローマ帝国の維持に役立った。
The Cynics became the etymological origin of the word cynical, and their thought was passed on to Zeno and influenced the Stoics. The Cynics' idea of world citizenship helped maintain the vast Roman Empire.
メガラのエウクレイデスは、アテネに来てソクラテスに弟子入りし学んだ。ソクラテスの死後、故郷のメガラに帰って弟子をとり、メガラ派を築いた。
Euclid of Megara came to Athens, became a disciple of Socrates, and learned from him. After Socrates' death, he returned to his hometown of Megara, took disciples, and founded the Megarian school.
メガラ派は論理学が発展し、アリストテレスの三段論法とは系統の違う、近代の命題論理に近いことを扱った。
In the Megarian school, logic was developed, dealing with something close to modern propositional logic, which is different from Aristotle's syllogism.
エウクレイデスの弟子エウブリデスは、アリストテレスの論理学に対してパラドックスで対抗した。有名なのは嘘つきのパラドックスやハゲのパラドックスである。
Eubulides, a disciple of Euclid, countered Aristotle's logic with paradoxes. Famous ones include the liar's paradox and the bald man paradox.
メガラ派の論理は、ストア派へと受け継がれた。キュニコス派とメガラ派は、それぞれソクラテスの一部を受け継ぎ、ストア派哲学の根底を支えた。
The logic of the Megarian school was passed on to the Stoic school. The Cynics and the Megarians each inherited a part of Socrates and supported the foundation of Stoic philosophy.
補足：嘘つきのパラドックスやハゲのパラドックスとはなに？
嘘つきのパラドックス: ある男が「私が今言っていることは嘘だ」と言ったとします。
- もしこの男が本当のことを言っているなら、彼は嘘をついていることになります。
- もしこの男が嘘をついているなら、彼は本当のことを言っていることになります。 つまり、この男が真実を言っているのか、嘘をついているのか決められないというパラドックスです。
ハゲのパラドックス: 髪の毛がたくさんある人はハゲではありません。そこから髪の毛を1本抜いても、まだハゲにはなりません。しかし、どんどん髪の毛を抜いていくと、いずれかの段階でハゲになるはずです。
- では、何本の髪の毛を抜けばハゲになるのでしょうか？
- 1本の差でハゲになるのでしょうか？ このように、ハゲの定義があいまいで、どこからがハゲなのか明確に決められないというパラドックスです。
これらのパラドックスは、言葉の定義や論理の適用範囲に関する問題を提起しています。メガラ派は、こうしたパラドックスを用いてアリストテレスの論理学に対抗し、言葉や論理のあいまいさを指摘したのです。
